油冷エンジンとは
油冷エンジンとは、エンジンの冷却をオイルを循環させることで行う構造のことです。
エンジンは空気を循環させる空冷式、水を使う水冷式と合わせて3種類があります。
スズキでは1985年に発売されたGSXーRモデルを開発した際に、油冷エンジンを本格採用しています。
このシステムはSACSとも呼ばれていて、オイルポンプによってオイルがヘッドカバーへ送られます。
その後、エンジンの外側にオイル噴射することによって、ヘッドの周辺を冷却することができます。
温度が上昇したオイルは、その後回収されてフィンによって冷却されます。
ヘッドとは別ルートでピストンの周囲にもオイルを噴射することによってピストンの冷却も行います。
この油冷エンジンは一部のモデルに採用されてきましたが、2001年のGSXを最後に搭載されることはなくなりました。
しかし、2019年のモーターショーで新しい油冷エンジンのシステムを持つジクサーが発表されて、油冷エンジンが復活することになりました。
以前のSACSとは異なる構造を持ち、SOCSという名称で紹介されています。
スズキの油冷エンジンの仕組みとメリット
新しいスズキのSOCSと、以前のSACSとの違いの大きな点はオイルの循環の仕組みです。
以前はオイルを噴射することによって冷却していましたが、新しいシステムでは自動車の水冷式と同じような構造でオイルをシリンダーヘッドの周囲に循環させます。
オイルジャケットという冷却用のルートを作り、そこにオイルを絶えず循環させエンジンで発生する熱を吸収させるわけです。
この構造は効率的なのですが、冷却面積を広く取る必要があり、以前の技術では小さなバイクのパーツには収められませんでした。
しかし、技術力が高まり広い冷却面積を確保できて、効率的に冷却が可能となっています。
しかも、フィンを使わなくても全体を冷却できるようにもなっています。
クーラー部分には電動ファンを設けていて、停車時にも問題なく冷却性をキープできます。
この油冷エンジンを使うことによって、効率よくエンジンを冷却することができ、パワーロスを防げるというメリットが生まれます。
特に年々夏の暑さが厳しくなっている状況で、電動ファンを使ったクーラーの冷却というのは重要度が増しています。
エンジンや周囲のパーツの耐性をキープするためにも、こうした効率的な冷却システムが必須なのです。
オイルを噴射するのではなく循環させるだけのシンプルな構造ですので、メンテナンスが楽というのもメリットの一つです。
オイルは潤滑目的でも普段から利用されていますので、新しいシステムと言っても取り扱いやすく、パーツ交換や整備がしやすい構造なのです。
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